アルコール依存症の診断

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アルコール依存症の診断には、専門医による診察が必要です。WHO(世界保健機関)では、次のような診断基準を定めています。
以下の6項目のうち、過去1年間に3項目以上が同時に1ヵ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合に「アルコール依存症」と診断されます。

■アルコール依存症の診断基準とその具体的な症状や事象例

1 渇望 飲酒したいという強い欲望あるいは切迫感
  • ・隠れてでも飲んでしまう
  • ・お酒が手元にないと不安
  • ・お酒のためなら面倒くさがらずに出かける
  • ・仕事中でも酒の事ばかり考えている
  • ・仕事が終わったら一人でも必ず飲みに行く
  • ・仕事中でも飲んでしまう
2 飲酒行動のコントロール 飲酒行動(開始、終了、量の調節)を制御することが困難
  • ・いつも泥酔するまで飲んでしまう
  • ・休肝日と決めても飲んでしまう
  • ・飲み始めたら止まらない
  • ・前もって決めていた量以上に飲んでしまうことがしばしばある(たとえば2杯までと決めていたのに3、4杯飲んでしまう)
3 離脱症状 断酒や節酒による離脱症状の出現、離脱症状の回復・軽減のために飲酒する
  • ・頭痛
  • ・吐き気をもよおす
  • ・食欲がない
  • ・微熱がある
  • ・脈が速くなる
  • ・イライラする
  • ・手がふるえる
  • ・寝汗をかく
  • ・眠れなくなる
  • ・迎え酒をする
4 耐性の増大 当初得られた酩酊効果を得るために飲酒量が増加する
  • ・飲む量が増えている(※)
  • ・たくさん飲まないと酔えなくなった

(※飲酒量が純アルコール量で男性60g超、女性40g超、かつ、習慣的に飲酒するようになってから飲酒量が50%以上増加)

5 飲酒中心の生活 飲酒のために本来の生活を犠牲にする、飲酒に関係した行為やアルコールの影響からの回復に費やす時間が増加する
  • ・一日中飲んでいる
  • ・一日中酔いが続いている、もしくは酔いからさめるのに多くの時間を使っている
  • ・趣味などの活動よりお酒を優先させる
6 有害な使用に対する抑制の喪失 心身に問題が生じているにもかかわらず飲酒を続ける
  • ・医師から、うつがひどくなるために飲酒を止められているのに飲んでしまう
  • ・健康診断で指摘されているのに飲んでしまう

日本アルコール・アディクション医学会・日本アルコール関連問題学会編:
新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドランに基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き【第1版】, p5-6, 2018

自身でアルコール依存のチェックを行いたい方は下記リンクをご利用ください。
「アルコール依存症 チェックシート(AUDIT)」 


お酒の飲み過ぎが原因となる身体の病気