アルコール依存症とは?

アルコール依存症はお酒を飲む人なら男女を問わず誰でもかかる可能性のある病気です。患者数は、全国で100万人を超えると言われていますが、依存症の専門治療を受けている方は、その中の数万人にすぎません。

アルコール依存症は、長い間、大量にお酒を飲み続けることによって、進行し、しだいにお酒なしではいられなくなる病気です。初めは単なる習慣のつもりで飲んでいても、お酒を飲まないと気分が晴れず、お酒に頼って、つい手が出るようになり、そのうち少量では、酔えなくなってきます。さらにお酒が切れるとイライラする、不安になる、手が震える、夜眠れない、汗をかく、食べたものを吐くなどの症状(離脱症状)が出てきます。また、一度お酒を飲み始めるとひたすら飲み続け、食事も摂らず、『飲んでは寝る』を繰り返すこともあります。

また、アメリカ精神医学会による診断基準「DSM-5」1)では、「アルコール依存症」の病名から「アルコール使用障害(Alcohol use disorder : AUD)」という名称を用いる改訂が行われました。従来は、アルコールを含む薬物の使用障害が「依存」と「乱用」に分かれていましたが、その区別をなくして「使用障害」でまとめられました。これにより、より軽症の患者さんも診断に組み入れられるようになりました。しかし、日本の医療現場では、ほとんどの場合「アルコール依存症」という病名が使われているのが現状です。

1)日本精神神経学会 日本語版用語監修, 高橋 三郎, 大野 裕 監訳:
DSM‒5 精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 2014.