アルコール依存症を治療し、 断酒に成功することで取り戻せるものは・・・
アルコール依存症の患者さんは、断酒を決断しそれを継続しなくてはなりません。 しかし、適切な治療を受けて回復すると、さまざまな生活環境の変化が見られます。
体調が改善する
アルコールは、さまざまな臓器や脳に障害をもたらすことが知られています。 早めに気づいて治療を受けることで、これらの症状の改善につながる可能性があります。脳の萎縮も、ある程度まで進行してしまうと元に戻すことは困難ですが、早期から断酒を継続すれば改善が期待できます。
アルコールにより引き起こされる病気など
- 不整脈・心筋症
- 高血圧
- 肝機能障害(肝炎、肝硬変)
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 末梢神経障害
- 脳の萎縮
- 食道静脈瘤、食道がん
- 急性・慢性膵炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 痛風、腎機能障害
- 性ホルモンの異常
家計の支出を軽減できる
毎晩の晩酌や、付き合い酒だけでも通年でみるとかなりの酒代を支払っていることになります。例えば、毎晩ビール500mLとチュウハイ350mLを2缶ずつ、週2回の居酒屋での飲食を1年間続けた場合の概算を計算してみると、
- (280円×2缶)+(220円×2缶)=1,000円(1日のビール、チュウハイ代)
- 1,000×5日=5,000円(1週間のビール、チュウハイ代)
- 4,000円×2=8,000円(1週間の居酒屋での飲食代)
- (5,000円+8,000円)×4=52,000円(1ヵ月のお酒代全て)
- 52,000円×12=624,000円(1年間のお酒代全て)
実にお酒代だけで年間約62万円も消費する計算になりますので、断酒が成功すれば、家計の支出軽減効果は非常に高いものになります。さらに、断酒が継続できれば治療費も抑制されます。
家族や周囲の人の生活が改善される
飲酒に関連する問題は、多かれ少なかれ、家族や知人、同僚などの生活に影響を与えます。経済的な問題や家庭内暴力、夫婦不仲、近所迷惑、子供の発達障害、事故など深刻度の高い問題に発展してしまう恐れがあります。アルコール依存症は放置してしまうとさまざまな問題を引き起こしてしまう病気ですが、患者さん本人の飲酒行動が改善すれば、それらの問題も改善に向かっていきます。
眠りが深くなり、朝目覚めが良い
アルコール依存症に伴う多量の飲酒は、夜中の寝つきにも影響します。アルコールには眠りを浅くする作用があると同時に、喉の渇きも強くなるため頻繁に目が覚めて熟睡でなくなります。そのため、翌朝も二日酔い状態となり、職場に行けなかったり、行けたとしてもアルコール臭を出して周囲に不快感を与えてしまいます。
このような不眠や職場放棄といった事態も、断酒することで防ぐことができます。