Doctor's Voice

茅野 分(ちの ぶん) 先生

銀座泰明クリニック
茅野 分(ちの ぶん) 先生

銀座の中心に位置するビル内にあり、夜間(21時まで)および土曜日も診療を行うクリニック。24時間365日インターネットでの予約が可能な間口の広さも魅力です。うつ病・不安障害という二大疾患の背後に潜むアルコール問題にも注目され、「薬漬けの医療ではなく、その人本来の生き方や人生ための治療法」を一緒に考えることで、多くの患者さんの信頼を得ていらっしゃいます。恩師の影響で出合った「内観療法」を取り入れ、自らの過去や心を見つめ直すことによる回復の指導も特徴的です。

銀座泰明クリニック 受付
銀座泰明クリニック 外観

メッセージ

―治療コンセプトに挙げておられる「レジリアンス」についてお聞かせください。

銀座泰明クリニック 内観

レジリアンスとは、精神的な強さ・立ち直る力のこと。当クリニックを受診される8割方の患者さんが、無理な生き方から生じた問題を抱えておられます。それらは、東京という大都市の環境による影響を少なからず受けています。変化のスピードが著しく速く、寛容さのない都市での生活が、ストレス脆弱性を強めて、レジリアンスを妨げていると考えられるからです。だからこそ、わずか30坪ばかりの小さな空間ではありますが、東京の中心地とも言えるここ銀座で開院しました。日々の生活に疲れてしまい、問題を解決できずに悩んでいる人は、いま一度、初心に立ち返って、「生きる意味」や「人生観」を見つめ直す必要があるのです。そのためのご協力ができれば、と思っています。

―治療に「内観療法」を取り入れられたのはどうしてでしょう。

私自身、数回の「集中内観」を体験し、深い洞察を得られました。内観療法はアルコールにより自ら苦しみ、さらに家族をも振り回していらっしゃる患者さんへの治療に有効であると実感しました。

「集中内観」では内観研修所に宿泊し、「内観三項目」の「お世話いただいたこと」「して返したこと」「ご迷惑かけたこと」を母からはじめ、父、兄弟姉妹など、これまでの人生に関わった方々を順々に振り返ります。

―アルコール依存症における薬物療法について教えてください。

銀座泰明クリニック 内観

アルコール依存症は病気ですから、意志の強さ弱さは関係ありません。だからこそ、薬物を使うことも治療には必要です。当クリニックでは、飲酒欲求を抑える断酒補助薬と、アルコールの分解を阻害する抗酒薬を併用しており、患者さんへ「飲みたい心に二重の鍵(二種の薬)をかけましょう」と伝えています。
また、精神疾患を併発しておれば、向精神薬との相互関係を丁寧に説明した上で、併用しています。
どんな治療であれ、必要不可欠なのは医師と患者さんとの信頼関係です。絶対に飲んではいけないと言ってしまうと、その信頼関係が崩れてしまいます。再飲酒した場合とがめることなく「七転び八起き」「何度も頑張りましょう」などの声かけに留めます。実際、再飲酒なしに、一度の断酒で治ることは稀でしょう。

―特に印象に残っている患者さんはいますか?

これまで多くのアルコール依存症の患者さんと接してきたなか、どの方も一筋縄ではいかず、どの方も印象に残っています。と言いますのは皆さんまさに命懸けで飲んでいるからです。仕事も家庭も、時には命まで失うほど飲まれていました。だからこそ、我々、医療従事者は、患者さんに対し、この病気に対する正しい知識を持ち、自分自身と向き合って問題を解決していくようにするサポートが欠かせないのです。

―アルコール依存症の患者さんに何か傾向はありますか。

当院を訪れる患者さんは、現状に関する危機感を抱き、自らの意思で来院されるケースが大半です。昼と夜の患者層は様相が異なり、昼間は銀座を好む女性、夜間は銀座の周辺で働く男性がメインです。
「銀座」というと夜間の歓楽街というイメージが強いと思いますが、東西に走る晴海通りを境に、1-4丁目のファッション街と6-9丁目の飲食店街に分かれます。しかしながら、飲食店街のエリアの方々の受診は多くありません。

受診される患者さんというのは、職場や家庭で困難を覚え、一人で解決しきれず、結果、アルコールに頼り、職場や家庭で問題を生じ、「このままではいけない」と思い、医療の援助を求められる方々です。いわゆる「底つき体験」に近い危機感ですね。そのような方々には、アルコールを止める治療をご提供するのもさることながら、アルコールを飲むに至った職場や家庭の問題を子細にうかがい、一緒に問題解決を図ってまいります。

ただし、当院は外来診療のため、重篤な臓器障害などを生じ、身体的な入院治療が必要な場合は近隣の総合病院や大学病院などご紹介し、病診連携を図っています。軽症の場合は隣の内科クリニックと連携して心身両面からの治療をご提供しております。問題を一人で抱えることなく、どうぞお気軽にお越し下さい。



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