Doctor's Voice

堀 達先生

タカハシクリニック
院長 高橋 龍太郎

  • 医療法人社団 こころの会グループ タカハシクリニック
  • 〒144-0052 東京都大田区蒲田
  • TEL:03-5703-1321
  • http://www.kokoronokai.jp/
タカハシクリニック 外観

「外来か入院か」の二択ではなく、その間に「デイケア」を挟みこみたいという想いで開業された精神科・心療内科のクリニック。東京23区で初の精神科デイケア施設として平成2年(1990)に創設し、地域に根ざした心のケアを目的に、心の病気や障がいを持つ人たちが地域社会で暮らしていける支援に取り組まれています。社会復帰への流れがスムーズになるような治療に定評がある他、院内には現代美術作品(=高橋コレクション)が飾られ、待ち時間を楽しくすごせる工夫がされているのも特徴です。

メッセージ

—院長は10年以上ニッポン放送のテレフォン人生相談を担当されているのですね。

タカハシクリニック 内観

ありがたいことに、ラジオを聴いて来院される方も少なくありません。アルコール依存症に対する相談は珍しいですが、ひとつの相談に対して40~50分の時間をかけてじっくりと向き合うことができる経験は貴重です。放送では17分ほどにカットされていますが(笑)。そこに相談業務の醍醐味があります。様々な相談について考え、アドバイスをする中で得られた知恵と教訓を活かしながら、毎日の診療にあたっています。地域の共同体が機能していた時代には、周囲にたくさんの相談役がいました。ですが、現代の閉鎖的かつ個を重視する関係性の中では、なかなかそういった相手に出会えません。だからこそ、精神科医は数少ない相談相手であるべきなのです。

—アルコール依存症の治療に対するポリシーを教えてください。

タカハシクリニック 内観

アルコール依存症に限ったことではありませんが、当クリニックでは予約制を採用していません。いつでも好きなときに相談に来ていただけるようにとの考えからです。人気のクリニックなどは3ヶ月待ちのところも少なくありませんが、その期間を待っている間に症状は進んでしまいます。当クリニックでは医師が3人いるため、フレキシブルな対応が可能です。 お酒をやめたいと思っていても、自分の力ではどうしようもない人。お酒が原因で、仕事に支障を来し、家族とも上手くいかなくなった人。お酒の問題を抱える人は少なくありません。当クリニックでも、アルコールについて相談に来られる初診の患者さんが週に2~3人おられます。また、デイケアには1日40~50人が参加されています。同じ病気を持った仲間たちとの集まりに身を置き、病気の回復と社会生活へのリハビリをサポートしています。

—どのような治療プログラムを行っておられますか。

タカハシクリニック 内観

当クリニックでは、患者さまが積極的に地域社会に何らかのカタチで参加することをゴールに見据えています。そのため、各種デイケアに力を入れているのです。積極的に参加する姿勢が地域で生きる意欲に繋がると信じているためです。例えば、外部から講師を招いて行っているジャズダンスやヨガ、英会話など、興味深く楽しめるプログラムと居場所を用意しています。 アルコールデイケアでは、アルコールやアルコール依存症についての知識を学び、飲まない生活を実践することを目指しています。規則正しい生活リズムを身につけ、同じ問題を抱える人たち同士の中で対人関係の改善などに取り組むことで、社会的な自立への準備を行うのです。 アルコール依存症は回復可能な病気。ですが、ひとりでの取り組みは困難なものです。家族や仲間たちと一緒に生活の習慣を変えることが大事です。

—その他、どのようなことを心がけて治療されていますか。

飲酒欲求があることは悪いことでなく、当たり前のことです。また、治療中の再飲酒は残念なことですが、病状の再発です。飲酒欲求の状況や再飲酒があった状況を医療者に正直に話すことができるような治療関係が成り立っていることが重要だと思います。治療が中断しないように、治療関係を維持していくことができれば、必ず好転していくと考えています。

—ご家族に対して重要視されていることはありますか?

おおた相談支援センターや4つのメンタルクリニックなど、相談設備が揃っているのも当クリニックの特徴です。また、近隣の就労支援の人たちとの関わりも積極的に持つように心がけています。入院せずに日常生活を送ることだけでなく、就労も含めて「回復」と見なす場合は、どうしても就労を焦る傾向があります。そのストレスで再飲酒するという失敗を繰り返すことで、自信をなくしていくことが問題です。再飲酒しても、ある程度はしょうがないと受け止めることも大切で、「お互いに長い人生なのでゆっくりやっていきましょう」という姿勢で治療を行っています。医師のできることは、その人の人生を見守りながら、背中を押すことだけ。ギリギリまで傍にいますが、必要以上に介入しないスタンスを意識しています。

—否認の病気という点から、ご家族ができることを教えてください。

高橋 龍太郎先生

まずは、アルコール依存症という「病気」について正しく知ることから始めてください。やいのやいのと責め立てて、お酒を排除しても無駄です。アルコール依存症になる人はとても強い(負の)エネルギーを持っています。ですから、正面きって戦っても疲弊するだけです。距離を取って接し、治療は我々プロに任せるくらいの方が、治療は長続きします。急がず、ゆっくりゆっくり進めていきましょう。そういったスタンスや、病気への向き合い方、正しい知識などについては、気軽に家族カウンセリングを利用して、身につけてください。



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