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院長 齋藤 利和

幹メンタルクリニック
院長 齋藤 利和

  • 幹メンタルクリニック
  • 〒064-0820 札幌市中央区大通西20丁目2-20 EXCEL S1ビル 5階
  • TEL:011-622-2525 FAX:011-622-2526
  • http://www.hokujin.or.jp/mikiclinic/
幹メンタルクリニック 外観

アルコール依存症治療において40年以上の経験を持ち、アルコール関連問題の研究を牽引してきた齋藤利和先生が院長に就任し、2014年7月に開院した幹(みき)メンタルクリニック。ここでは、「精神障害者の方々の生活全般にわたるお手伝い」を理念とし、特にうつ病、不安障害、飲酒がもたらす諸問題に力を入れ、患者さんの生活に密着した医療を展開しています。

メッセージ

—施設の特色を教えてください。

札幌の中心部に立地し、駅から徒歩3分の便利なアクセス。患者さんの生活スタイルに合わせて通院できるよう週3回は夜8時まで、土曜日は午後3時まで診療しています。これまでの経験からアルコール依存症などの病気や精神障害があっても、一般社会の中で生活しながら治療し、回復することが大切だと考えているからです。
生活の視点を持った診療をするためにはデイケアはとても重要ですので、クリニックながらデイケア室も完備し、さまざまな施設を多目的に活用してケアを行っています。

—デイケアでは、どのようなプログラムが行われているのですか?

幹メンタルクリニック デイケア

例えば、アルコール依存症の方は素面で料理して食事をした経験がないことも多く、料理してきちんと食事をするというのも治療の一つで、そういった生活の視点を重視してケアを行います。料理の他にも体操などのレクリエーションやグループ活動、社会生活技能訓練の他、コンピューター操作など復職に必要なプログラムも行います。デイケアは、生活リズムの確立、対人関係の調整、さらには社会復帰、自立に向けた専門治療なのです。
アルコールの集団療法やショートケアも、デイケアスペースで行っています。通院しながら社会復帰の準備をしていただくなど、その人らしい生活を支えることを目指しています。

—来院される患者さんはどのような方ですか?

幹メンタルクリニック 受付

新規相談は専用ダイヤルを設けて受診相談を受けており、新患の患者さんの約半数がアルコール依存症患者だと思います。外来もデイケアも完全予約制です。北海道ではアルコール依存症を診療するクリニック自体が少ないので、まだ開院したばかりですが、多くの患者さんに来院いただいています。実はうつ病とアルコール依存症を合併している患者さんが多く、3割くらいの方がうつ病を合併しています。

—治療の基本的な考え方を教えてください。

患者さんの症状や生活環境、治療への考え方などは一人ひとり違いますので、薬や治療法は一緒に考えながら最良の選択ができるように、テーラーメイドな対応を大切にしています。「1日断酒」を目標にする、「酒を減らす」ことから始めるなど、患者さんが実行できること、約束できることを提案して一緒に目標を決め、合意しながら治療を進めています。合意できなかったものを無理やりやろうといってもうまくはいかないんです。
当院では、まず初診の患者さんの半分くらいの方に「1日断酒、今日1日だけはきちんと断酒しましょう」と約束し、次の日も来院していただきます。たとえ私が外来の担当でない日であっても、「あなたのためにちゃんと時間を作って待っているから」と約束して診察室でお待ちしています。そこで断酒できたかどうか確認して、「昨日はよく断酒できましたね」と患者さんに声をかけます。患者さんの立場に立ちながら、患者さんが断酒したいという気持ちを援助することが大切なんだと思います。

—クリニックには精神医学研究所を併設されています。

私は日本アルコール・薬物医学会と日本依存神経精神科学会、2つのアルコール関連問題の学会の理事長ですから、研究を続けていくことは言うまでもないことです。
2014年春に退職した札幌医科大学では基礎研究が中心でしたが、精神医学研究所では、札幌医大とも連携しながら臨床研究に取り組んでいきたいと考えています。例えば、アルコール依存症の患者さんにうつ病の薬や抗不安薬は効くのか、効き目はどうなのかといったデータは日本にはありません。そうした臨床統計やデータも作っていこうと考えています。

—専門職のスタッフは多彩ですね。

個人クリニックといっても、専門も得意分野も違う医師が3人、看護師が2人、精神保健福祉士が1.5人、作業療法士と臨床心理士が各1人の体制です。さらに事務職も含めてチームで取り組んでいます。
例えば看護師は注射や採血だけをしているわけではなく、集団療法のファシリテーターもしています。医師だけでなく、スタッフ全員が治療者です。

—最後に、ご家族の方へアドバイスをお願いします。

院長 齋藤 利和

絶対病院に行きたくないという人を説得する方法はないでしょう。しかし、アルコール依存症の患者は、必ず、治療を受けたい気持ちと酒をやめたくない気持ちの間で揺れています。
治療を勧めるには、その人の自尊心に働きかけることが大切です。私は、「よく来たな。すごいな」と、とにかく褒めることにしています。本人が誇りを取り戻せるようなアプローチをしないといけません。ここでは患者さんに合わせて、実行可能なことを提案しますので、安心してお越しいただければと思います。



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