Doctor's Voice

院長 大石 雅之

大石クリニック
院 長 大石 雅之
副院長 大石 裕代

大石クリニック 院内

大石クリニックは1991年、依存症を専門とする外来診療のクリニックとして開院しました。横浜市の中心部に位置し、地下鉄の駅から下車1分の好立地で、神奈川県を中心に首都圏からも通院できる施設です。患者や家族のニーズに合わせて多彩な治療プログラムを持ち、デイケアや社会復帰、就労支援も含めた充実した取り組みを展開しています。

メッセージ

—大石クリニックを開院されたきっかけを教えてください。

大石クリニック 外観

患者としっかり向き合う精神科医になりたいと思い、アルコール依存症の治療に関わっていました。当時のアルコール依存症治療は一般病院の閉鎖病棟での入院治療が中心で、私は、患者の自由を奪うこの入院治療をなんとかできないかと考えていました。その頃、大阪では故・小杉好弘先生(小杉クリニック・大阪市)が全国に先駆けて外来治療の実践を始めておられました。小杉先生から自助グループや地域のサポートの大切さなどを学ぶうちに、東京でも外来で治療できる医院の必要性を強く感じるようになり、大学病院をやめてクリニックを開業することにしたのです。

—外来通院による治療の良さは何でしょうか。

通院の判子

一言でいうと、治療内容もペースも自由自在のオーダーメイドにできるということです。全ての患者さんが3ヵ月休みを取って治療に専念できるわけではありません。通院の方が患者さんのペースに合わせられて、敷居も低い。治療の主体は患者さんにあります。
また内容に関しても入院の場合は治療プログラムも管理的で均一な、いわばコース料理のようなものになりがちですが、外来治療なら患者さんが選ぶアラカルトにできます。アルコール依存症の治療でもっとも大切なのは「継続」です。自分に合った治療が選択できるための様々なプログラムを用意することが、治療の継続につながります。
当院ではオリジナルの「通院の判子」が人気で、通院された日には出席簿代わりの台帳に判子を押しています。30日継続したら「よくがんばった」などいろんな種類の判子があり、患者さんは継続の目標や励みを持つことができます。「次はこの絵柄を揃えたい」というゲーム感覚の楽しみもあるようです。

—通院の期間やペース、治療の内容が一人ひとり違うということですか?

患者さんには、最初は週1回、3ヵ月経てば月に2~3回、半年後からは月2回を目安に通ってくださいと説明します。2年間ぐらいで安定しますから、あとはマイペースで通院してもらうようにします。
週1回通院していただくと3ヵ月で基本的な教育プログラムを受けられるようになっていますが、基本プログラムから始めてもいいし、ミーティングだけ参加してもいい。特殊なプログラムとして、怒りを抑えるアンガープログラムやSST(生活技能訓練)などもあり、個別のプログラムの中から参加したいものだけ選ぶこともできますし、ご家族だけが来院されるケースもあります。

—多彩なコース、プログラムがあるのですね。

患者さん、ご家族はそれぞれにニーズがあります。外来のプログラムなら毎日3~7のプログラム、デイケアも複数のプログラムを並行して実施しています。患者さんには、参加しやすい時間帯で参加したい内容など、ご自分に合ったものを選んでいただきます。
例えば会社勤めの方は、夜間や土曜のサラリーマンコースを利用すれば働きながらの通院が可能です。休職中や退職した方など時間のある方なら、生活リズムを整えて昼間飲まない習慣を身につけていただくデイケアコースに毎日来ていただきます。生活リズムが崩れていないなら教育プログラムや認知行動療法に週3回来ていただくなど、その方に合ったプログラムを選んでいきます。リワークコース、就労支援のコースもあります。

—来院される患者さんは、どのような方ですか?

1日に来院されるのは約200人、月に約80人もの新患の患者さんがあり、新患数は神奈川県ではトップクラスです。インターネットや口コミで評判を聞いて来院される方もありますが、内科や精神科、断酒会からの紹介もあります。患者さんの8割はサラリーマンですね。最近はサラリーマンだけでなく、高齢の患者さんも増えています。
開業当初はアルコール依存症や薬物依存症の患者さんが中心でしたが、社会の変化と共に変化しています。最近はネット依存・ギャンブル依存症・買い物依存症・性嗜好障害(性依存症)・盗癖(クレプトマニア)など新たな依存症を抱えた患者さんが来られるようになってきました。

—クリニックのスタッフの3割が回復者の方だそうですね。

副院長 大石 裕代

断酒会やAAが院内例会を開催していたり、メッセージの活動に来てもらっているのは他の施設と同じです。近隣の自助グループのメンバーの多くは当院の出身者で、プログラムに出れば卒業生の集まりへ自然と接点ができるようになっています。
また、特徴として自身が回復者であるスタッフが、約100人の当院スタッフのうちの3割近くを占めており、彼らがピアカウンセラーになっています。ミーティングの司会の他、看護師や栄養士、精神保健福祉士、ケアマネージャー、ヘルパー等々の資格を生かして働いています。これは患者さんの目標にもなるのではないでしょうか。もちろん一般企業に勤める人もありますが、ゴールは断酒ではなく、仕事に就いて社会生活に復帰することです。

—他施設との医療連携はどのようになっていますか?

私自身が開院前に東京慈恵会医科大学附属病院で働いていたことや、東京慈恵会医科大学附属病院や久里浜医療センターの医師に非常勤で診察をお願いしていることもあり、近隣でアルコール依存症治療に取り組む施設とは相互に連携しています。
入院治療が終わった後は交通の便の良い当院で、通院治療を継続している方も多いです。

—最後に、ご家族の方へアドバイスをお願いします。

院長 大石 雅之 副院長 大石 裕代

当院ではご家族向けにも多数のプログラムを用意しており、来院される方の1~2割はご家族の方です。
当院では、家族教室は母、妻、親といった患者さんとの関係が同じ立場の方を対象に別々に実施しています。例えば、治療を拒否している患者さんのご家族ならCRAFT(クラフト)プログラム※で、本人が治療を始めるために家族ができることについて学んでいただきます。一般的にCRAFTプログラムは医師が個別に実施していると思いますが、当院では5~10人のご家族のグループに、臨床心理士やケースワーカー、看護師がついて毎週1回実施し、これを受けて私が個別にフォローをするシステムです。 ご家族のプログラム参加も保険適用です。一人で悩まず、まずはご相談ください。

※CRAFT(クラフト)プログラム 家族を支援して、家族が患者さんとどう対応するかを学び本人を治療につなげていく プログラムのこと



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