Doctor's Voice

大堀先生

上山病院
大堀 守一 先生

  • 上山病院
  • 〒999-3103 山形県上山市金谷字下河原1370番地
  • TEL(代):023-672-2551
  • 【受付時間】月曜日~金曜日 午前 10時00分~午後 4時00分
    ※土曜・日曜・祝日は休ませていただきます。
  • http://kaminoyama.org/
上山病院

蔵王山麓の豊かな自然環境に恵まれた環境に、昭和31年開設された上山病院は、地域と共存できる病院をモットーとする精神科病院。アルコール依存症の治療のみならず、児童・思春期の発達障害、高齢者の認知症などの専門外来を持つ総合的な精神医療を展開しており、相談やデイケア、地域での在宅生活支援にも力を入れている中核病院です。

メッセージ

—上山病院の特徴は何でしょうか。

上山病院

昭和40年代後半から開放的な環境で治療しようという開放運動の先駆けとなった病院で、病院をあげて「鍵を外し、窓を開けて自然の中で自由に治療しよう」という姿勢で取り組んできました。
当院は、山形県内の精神科病院ではベッド数が最も多い病院です。患者さんが400人以上おられると内科的なケアが必要な方もおられますし、精神科の患者さんに多い皮膚疾患を診てもらうために、内科、皮膚科、心療内科を併設しています。最近は高齢の方が増えていることもあり、褥瘡(じょくそう・床ずれ)などの皮膚疾患も専門医が診察しています。

—患者さんへの接し方で心がけておられることはありますか。

病院理念で「人間愛にもとづき個人を尊重する医療を実践します」と掲げているように、ご本人の意志を尊重することを第一に考えています。初診は平均30分から長い時は1時間くらいですが、やはり時間をかけてきちんと患者さんの意思確認ができていると入院後の治療がスムーズに進みます。ご本人だけでなくご家族も含めて、何に、どのくらい困っているのか十分にお話をお聞きし、「本当は良くなりたい」という気持ちを引き出せるようにしています。

—具体的な治療プログラムについて教えてください。

アルコール問題についての学習会と集団療法(ミーティング)が中心です。臨床心理士による集団療法を採り入れており、カウンセリングも含まれているのが特徴です。アルコール依存症の専門病院ではないため、隣接のデイケア施設で行う作業療法など、他の疾病の患者さんのプログラムも組み合わせています。
アルコール依存症の患者さんは家族関係や仕事の問題など、生活が破綻しているケースが多く、日常生活の支援に精神保健福祉士の力が必要です。そこで当院では退院後も安心して治療を継続していけるよう、入院中から精神保健福祉士らが関わりを持つようにしています。また、入院中からAAなど自助グループにつなげるように援助するなど、退院後の支援がスムーズに行える準備をしています。退院後には、看護師や作業療法士、精神保健福祉士らが訪問看護を行ってフォローをすることもあります。

—治療中の自助グループ等への参加も積極的に促しているのですね。

自助グループには入院中から参加していただきます。基本的には自分で通ってもらいますが、最初は抵抗がある方もいらっしゃるのでスタッフが同行することもあります。
家族会は月1回開催しており、入院中や外来の患者さんだけでなく、治療を始めていない患者さんの家族も自由に参加していただけるようにしています。参加者は愚痴や困ったことを相談するなど自由に話し合い、スタッフが助言をしたりします。ご家族が対応の仕方を学んだり、悩みを共有することで、ガス抜きができる場所になっています。ご家族が気持ちに余裕を持って接することができるようになることで、治療にもつながっていると思います。

—来院される患者さんはどのような方ですか。

内科からの紹介が多く、山形市内や上山市内の他、新庄や尾花沢などアルコール依存症治療を行う病院がない、山形県北部から紹介で来られる患者さんもいらっしゃいます。また、ご家族だけが相談に来られる場合や、インターネットで調べてご自身で来院される場合もあります。
最近は高齢の患者さん、とくに退職後の飲酒からアルコール依存症になった方が増えました。女性や若い方も増えていて、30歳くらいの患者さんやうつ病を合併している方もおられます。ただ、昔のように飲み続けて、どうしようもなくなって入院というのではなく、比較的軽症で来院されるケースが増えているように思います。

—山形県でのアルコール問題の現状はいかがでしょうか。

山形県 風景

農家が多いので、会社ならトラブルになって表面化するような症状の方でも、治療につながらないことが少なくありません。会社勤めと違って畑仕事をしながら自由に酒が飲めますし、周囲もそれを放っておきます。アルコール依存症でも仕事はそれなりにできているので治療につながらず、飲酒運転事故を起こしてしまい、それをきっかけに病院に来られるというようなこともあります。朝から飲んだり、作業小屋に隠れて飲むなど、日頃から隠れ飲みする癖がついていると、再飲酒になる可能性が高く、治療が難しくなります。再飲酒したら再入院していただいて、根気よく治療するしかないのですが。

—最後に、ご家族の方へアドバイスをお願いします。

家族の方に無理矢理連れて来られた患者さんは治療がうまくいかず、なかなか回復できません。まずは家族としてどう関わるかを知ることと、タイミングを上手くつかんでご本人を治療につなげることが大事です。
アルコール依存症は否認の病気と言われていますが、100%否認している人はまずいません。どこかでやはり「これじゃいけない。何とかしたい。」という気持ちを持っておられるし、その気持ちが顔を出す瞬間が必ずあるんです。そのタイミングをうまく見つけて治療を勧めてほしいと思います。まずは、ご家族だけでも相談に来てください。



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