Doctor's Voice

樋口先生

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
院長 樋口 進

久里浜医療センター

1963年に日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立した日本最大級の治療施設である久里浜医療センターは、WHO(世界保健機構)の研修・研究機関にも指定されている日本のアルコール依存症研究の中心的な専門医療機関です。患者さんの自主性を尊重した治療は、“久里浜方式”として全国各地に広がっています。

メッセージ

ー 久里浜医療センターの特徴は何ですか。

久里浜医療センター看板

当センターはおそらく日本で一番多くの患者さんを診察していますが、患者さんのニーズや問題に応じた治療ができるように若年・中年男性、女性、高齢者と、それぞれに対応した治療プログラムと治療ユニットを持っています。

— 依存治療のプログラムについて教えてください。

入院治療と通院治療があります。入院治療の特徴としては、第一に教育です。アルコール依存症とは何か、どのような問題が生じるのか、回復するためにはどうするのかを教育します。

第二には認知行動療法です。5〜7人の小集団の患者さんに医師や臨床心理士のリーダーが1人ついて、1時間程度のセッションを繰り返し行います。当センターでは2000年から認知行動療法を始めていますが、最近これを大幅に改編したTMACKという包括的なプログラムを作りました。世界で使われている心理社会的治療の良いところを採り入れた集大成のようなプログラムです。

第三に、個人カウンセリングです。依存症の方はさまざまな問題を抱えていますので、主治医やソーシャルワーカーが相談に乗っています。
外来治療にも3ヵ月間毎週通院する入院治療と同じようなプログラムがあります。

— 主に入院治療が主軸とのことですが、入院する期間はどのくらいですか。

入院する期間は2〜3ヵ月です。初めの2〜3週間は、アルコールで傷めた身体の検査と身体疾患の治療、それから離脱症状のケアをします。残りの7週間でアルコールをやめるための治療を行います。

— 来院される患者はどのような方でしょうか。

東京とその周辺が約3分の1、横浜市が3分の1、横須賀市近辺が3分の1くらいだと思います。昔はアルコール依存症というと中年男性の病気と思われていましたが、今は様変わりして女性と高齢者が増えています。この傾向は他の医療機関も同じだと思いますが、アルコール依存症で来院される方のうち、女性と高齢者を合わせると半分近くになると思われます。

— 自主性を尊重したきめ細かな治療が行われているのですね。

久里浜医療センター風景

患者さんが自分の意思で治療を受けるよう、入院でも外来通院でも、できるだけ本人の意思を尊重して治療に入っていただくようにしています。当センターは国立病院ということもありスタッフの数が非常に多く、きめ細やかな対応ができていると思っています。

私たちは1人でも多くの方々に断酒を達成していただき、本来持っている力を社会で発揮できるように支援したいと思っています。職員もみんなそういう気持ちで仕事をしていますし、相談室のメンバーも親身になって相談に応じています。家族や職場、周囲に心配な方がいたら、まずはご相談ください。ご本人に少しでも病院に行ってみようという気持ちがあるなら、迷わず電話していただきたいと思います。



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